遺産分割協議が難航して話し合いができない場合には、家庭裁判所に遺産分割調停の申立をすることになります。
遺産のすべてが預貯金であれば、法定相続に基づいて分配すればよいのですが、特別受益や寄与分などがある場合、法定相続分だと不公平になり、遺産分割協議が整わなくなることもあります。
また、不動産などすぐに現金にできない場合も問題が多いです。
誰も居住していなければ、売却して現金にしてしまえばあまり問題はありませんが、例えば父名義の家屋に長男一家が同居して父の面倒を死ぬまでみてきた場合で遺言書がない場合は問題になることも多いです。
相続人全員で不動産を長男名義にすることで話し合いがつけば、問題ないですが遺産には、不動産以外にはめぼしい財産がない場合、他の兄弟は何ももらえなくなってしまい不平が発生することになります。
そうかといって、不動産を売却してしまうと長男一家は居住するところがなくなってしまうので簡単には売却はできません。
また、不動産が複数ある場合、通常はそれぞれの不動産ごとに値段が異なるため、公平な分割が難しくなります。ある程度の現金があればそれで補填でることも可能ですが、それもない場合は大変です。
<管轄>
相手方の住所地の家庭裁判所が裁判管轄となります。相手方が複数おり、それぞれで管轄が異なる場合、どこの家庭裁判所に申立をするのが一番手続きを円滑に進めることができるのかを考えて申立する必要があります。
<相手方>
もめていない者も含めて申立人以外の相続人の全員を相手方としなければなりません。
<添付書類>
①申立書
②被相続人の戸籍、除籍など相続人が特定できるもの
③相続人全員の戸籍謄本、住民票
④遺産目録を裏付ける不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書、図面、預貯金の残高証明書など
<解決方法>
調停は、家事審判官(裁判官)と2名以上の調停委員から成る調停委員会の立会のもとで行われます。調停委員がそれぞれの相続人の事情を考慮して、妥協点を探ることになります。
相続人全員が同意すれば、調停調書が作成されます。調停調書は、確定判決と同様の効力を持ち、それに基づき不動産の登記や預貯金の引き出しなどが可能となります。
調停がまとまらない場合には、審判に移行されます。
遺産分割の調停をしても当事者間に合意が成立する見込みがない場合又は成立した合意が相当でないと認める場合には、調停が成立しないものとして、事件を終了させることができ、調停不成立となったときには、調停の申立によって開始した事件であった場合には、その申立の時に審判の申立があったものとみなされ、審判手続きに移行し、新に審判手続が開始することになります。
遺産分割審判は、①相続人の範囲②遺産の範囲③特別受益④寄与分⑤遺言の効力⑥遺産の評価⑦具体的相続分⑧分割方法についての判断を順次していくことになります。
家事審判官(裁判官)は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して、審判をすることになります。
審判の内容に不服がある場合、2週間以内に高等裁判所に対して、「即時抗告」の申立てをすることができます。
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